秋田県立大学は東京大学と連携、協力に関する包括協定を結んだ。日本一のスピードで進む人口減少など秋田県が抱える問題と、気候変動の加速など世界的な課題の解決に向け、東京大学が持つ先進知を活用するのが狙いで、課題解決に貢献できる人材の育成でも協力する。
秋田県立大学によると、協定の締結式は秋田県秋田市の秋田県庁であり、秋田県立大学の福田裕穂学長、東京大学の相原博昭副学長が協定書にサインした。連携事項は共同研究や施設・設備の相互利用、地域社会への貢献など多岐にわたる。具体的には以下の通り。
・共同研究
森林の二酸化炭素吸収・貯蔵の高精度測定法開発、地方での再生可能エネルギー開発、気候変動予測の農林水産業活用、気候変動を見据えた農業技術の創出など共同研究の推進
・教職員の交流
未来グリーン・デジタルサイエンス学環創設時における東京大学教員のクロスアポイントメント雇用、東京大学教員による秋田県立大学学長セミナーでの講演、事務職員の相互研修
・学生の交流
東京大学学生の大潟キャンパス圃場での実習、秋田県立大学学生の東京大学での実習
・教材の開発及び相互利用
東京大学大学総合教育研究センターのオンライン教材、オンデマンド教材の秋田県立大学での利用、海洋学際教育プログラムの共同開発
・施設・設備の相互利用
東京大学の教員・学生の大潟キャンパス圃場、秋田県立大学運動施設の利用
・地域社会への貢献
東京大学・秋田県立大学共同シンポジウムの開催
秋田県の人口は1956年の約135万人をピークに減少を続け、2024年7月に104年ぶりに90万人を下回った。2050年までに56万人に減少し、65歳以上が全人口に占める割合を示す高齢化率が全国の都道府県で初めて50%を超すと予測されている。
基幹産業の農業は気候変動の影響を心配する声が上がっているほか、人口減少の進行で地域内の商業施設がなくなり、県がスーパーを開設したところもある。少子高齢化や世界的な課題の弊害が真っ先に表れている場所といえ、日本が将来、直面する課題解決の先行モデルと考えられている。