名古屋大学大学院の秋山真志教授ら世界各国から集まった遺伝性角化症のエキスパートと患者会の代表から成る「表皮分化疾患病名改訂イニシアティブ(REDDI)」タスク・フォースは、遺伝的な表皮の分化障害による疾患の国際病名を包括的かつ抜本的に改訂した。

 遺伝性角化症は遺伝的病因による表皮の分化障害のために、白色調から褐色、黒色調の角質の堆積を皮膚に認める一連の疾患群。しかし、その命名法は多様で異名や誤称が多い。発症機序・病態に基づいた分類でもなく、治療法開発にもあまり役立っていない。そこで、病因や病態についての新規知見を反映した、遺伝性角化症の国際病名、病型分類の見直しが望まれていた。

 REDDIは3年前から遺伝性角化症の国際病名および病型分類の改訂に取り組んでおり、今回の改訂では、従来の遺伝性角化症より広い範囲の表皮の分化障害による全ての疾患を「表皮分化疾患(EDD)」と命名した。今回の全てのEDDを包括する新分類、病名システムでは、EDDは病変が皮膚に限定される非症候性EDD(nEDD)、皮膚以外の臓器にも症状が見られる症候性EDD(sEDD)、主に手掌足底に病変のある掌蹠EDD(pEDD)に分けられた。

 新病名は病因遺伝子に基づいて命名されている(例:FLG-nEDD(旧病名、尋常性魚鱗癬)、ABCA12-nEDD(旧病名、道化師様魚鱗癬等))。今回の新病名では、「魚鱗癬」や「道化師様」などの患者・家族に不快と思われる用語や、人名に由来する病名を完全に排除。さらに、この病因分子の機能による分類と病因遺伝子を含む新病名によって、患者は自身の疾患の病因や病態を理解しやすくなり、医療従事者は適確な治療の提供が可能になることが期待されるとしている。

論文情報:【British Journal of Dermatology】Nonsyndromic epidermal differentiation disorders: New classification and nomenclature based on disease-associated genes leading to targeted therapy

大学ジャーナルオンライン編集部

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