株式会社マイナビは、「マイナビ2026年卒大学生のキャリア意向調査」の結果を中心に、近年の大学生の就職活動におけるAI利用の特徴と変化、自らがAIに評価されることについての受け止め方などを分析。就活生の視点として、就活でAIを活用するものの、自らがAIに評価されることには後ろ向きで、AIを使うこと・使われることの間にギャップがあることが分かった。

 調査によると「学生のAIの利用経験」は、2026年卒で82.7%となり、2年前の2024年卒と比較して2倍以上となった。さらに就職活動でのAI利用率も26年卒では66.6%と、3人に2人は就職活動においてもAIを利用しており、24年卒(18.4%)と比較すると3倍以上増加した。2022年に自然言語処理のできるAIチャットボットが普及して以降、急速に利用が広まり、学生の間でもAIの利用が身近になっていることがわかる。

 就職活動におけるAIの利用方法は、25・26年卒ともに「エントリーシート(ES)の推敲」が最多で、26年卒では68.8%と約7割がESの推敲にAIを利用していることが分かった。そのほか、25年卒から26年卒にかけて増加幅が大きいのは「面接対策(昨対比18.8pt増)」や「業界研究(昨対比10.3pt増)」、「自己分析(昨対比9.4pt増)」などで、利用法も多様化していることがわかる。

 また、就職活動にAIを利用する理由は「作業時間の短縮になるため(62.6%)」、「自身のアウトプットの改善・改良(58.0%)」が半数以上となるほか、「作業ミスを減らすため(32.0%)」が25年卒から26年卒にかけて6.5pt増加した。大量のデータを元にアウトプットが可能なAIの特性やタイムパフォーマンスの高さが就職活動におけるAI利用の増加に繋がっていると考えられる。

 企業が選考の評価検討にAIを利用することについて「使ってよいと思う」※1 という学生の意見が最も多かったのは「適性検査の評価検討(49.8%)」。一方「使ってよいとは思わない」※2は「面接内容の評価検討(47.5%)」が最多だった。明確に数値などで結果がでる適性検査ではAIの利用は受け入れられるが、人柄など数値で表すことが難しいものを評価する面接では受け入れられづらいのではないかと推察される。

 企業から指定される面接手法によって「受験意欲」に影響があるかを聞いたところ、意欲が「下がる」※3 のは「AI面接」が最多だった(77.5%)。時間や場所を問わず受験できるという利便性よりも、対人かどうかが受験意欲に影響していると考えられる。

 また、就職活動において学生が生成AIを利用することについてどう思うか企業の採用担当に聞いたところ、もっとも多かったのは「使い方を慎重に検討したうえで活用してほしいと思う」の52.7%で、「積極的に活用してほしいと思う(5.0%)」とあわせて57.7%となり、半数以上の企業が活用に前向きな回答となった。

※1「積極的に使ってよいと思う」+「どちらかというと使ってよいと思う」の計
※2「全く使ってよいとは思わない」+「どちらかというと使ってよいとは思わない」の計
※3「受験意欲が下がる」+「どちらかと言えば受験意欲が下がる」の計

参考:【マイナビキャリアリサーチLab】2026年卒 大学生キャリア意向調査4月<就職活動におけるAI利用>

大学ジャーナルオンライン編集部

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