政府の教育再生実行会議が首相官邸で開かれ、座長の鎌田薫前早稲田大学総長が文系・理系に偏った大学入試の改革などを求める提言を安倍晋三首相に提出した。安倍首相は「提言で示された方策に基づき、わが国の教育再生を着実に実行していきたい」とあいさつした。
提言によると、大きく社会が変化しつつある現代は文理両方を学ぶ人材の育成が急務だとして文系か理系のいずれかに偏った現在の大学入試制度を改革するよう求めた。政府には入試改革を実行する大学に対し、積極的な支援を求めている。
このほか、高校生の約7割が通う普通科の教育内容が画一的で、生徒の意欲が高まるものになっていないと指摘、将来のキャリア設計能力や国際的なリーダー育成など4つのタイプを示し、教育内容に幅を持たせるべきだと提案した。
さらに、高校生の就職活動で応募を1人1社とする長年の慣習について、主体的な選択を促すために改善する必要があるとしている。
中山間や離島など地理的にハンディを抱える地域や、病気療養中の児童、生徒が多様な教育を受けられるようにするため、小中高校に遠隔教育を実施できる環境整備を進めることを提言した。
これに対し、安倍首相は「令和という時代には日本人1人ひとりが明日への希望を大きく咲かせることができるという願いが込められている。改革の推進でその願いが実現できる社会にしたい」と答えた。