全国の大学病院で診療を行う医師、歯科医師のうち、勤務実態があるにもかかわらず給与が支払われていない「無給医」が全体の7%に当たる2,191人に及ぶことが、文部科学省の調査で分かった。医師免許を持つ大学院生や専門医を目指す専攻医が大半で、文科省は労働基準法違反の可能性が高いとして改善を指導している。

 調査は1~5月、国公私立大学の108付属病院を対象に実施。2018年9月時点で助教から教授までの大学教員を除いた医師ら約3万1,801人の給与支払い状況を調べた。

 それによると、全国50病院で2,191人の無給医が見つかった。このうち、合理的な理由がないまま給与が支払われていなかったのは、27病院の751人に上る。無給医は診療のローテーションに組み込まれているケースがあったほか、契約日数を上回って診療していた人もいた。いずれも最大2年に遡って給与が支払われる。

 残りの35病院、1,440人は大学病院側から「本人の申し入れなど合理的な理由がある」との説明を受けているが、専門家の意見も踏まえて今後、支給されることになる。

 無休医が多かったのは順天堂大学順天堂医院の197人が最多で、調査対象医の46%を占めた。以下、北海道大学病院の146人、東京歯科大学水道橋病院の132人、岩手医科大学病院の123人と続く。昭和大学歯科病院は119人、愛知学院大学歯科病院は118人で、ともに調査対象医全員が無給だった。

 このほか、7病院の1,304人については無給だったが、状況が明確でないとして調査を継続している。調査継続の対象者が多いのは日本大学板橋病院の321人、東京大学病院の239人、日本大学歯科病院の211人など。

参考:【文部科学省】「大学病院で診療に従事する教員等以外の医師・歯科医師に対する処遇に関する調査」の公表について

大学ジャーナルオンライン編集部

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