北海道の針葉樹、広葉樹混交林で過去40年間に針葉樹の割合が減少していることが、北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの日浦勉教授、森林総合研究所の飯島勇人主任研究員らの調査で分かった。共同研究グループは地球温暖化による気候変動の影響とみている。
北海道大学によると、共同研究グループは北海道音威子府村にある北海道大学中川研究林の筬島、パンケの両原生保存林17.5ヘクタールで森林の樹木1本ずつを個体認識し、約40年間モニタリング調査した。
その結果、夏の気温上昇と降水量の増加がイタヤカエデ、ミズナラ、ホオノキなど広葉樹の生育に良い影響を与える一方、トドマツ、エゾマツ、アカエゾマツなど針葉樹に悪影響を及ぼしていることが分かった。2004年の台風の影響も針葉樹の方がより深刻だった。このうち、筬島原生保存林では針葉樹の割合が約20%も減少していた。
気候変動は森林の生態系にさまざまな影響を与えていると考えられているが、まだ不明な点が多く、これまで長期のモニタリングデータに基づく研究例もわずかしかなかった。
共同研究グループは気候変動が森林の姿を改変し、針葉樹の割合を年々、低下させているとみている。今後も気候変動が続けば、寒冷な気候に適応した針葉樹が消え、針葉樹と広葉樹の混交林が広葉樹の森に変わりかねないとしている。