信州大学と養命酒製造株式会社の共同研究グループが、「クロモジ」の熱水抽出物(クロモジエキス)に持続的なインフルエンザウイルス増殖抑制効果を見出した。

 クスノキ科の落葉低木「クロモジ」は、日本の山地に自生し、リラックス作用が期待されるリナロールを主成分とする香りをもつため楊枝や香木、生薬として古くから親しまれている。

 2018年、養命酒製造株式会社と愛媛大学医学部付属病院が看護師を対象に行った臨床試験により、クロモジの熱水抽出物を濃縮したクロモジエキスを摂取すると、インフルエンザ罹患率が低くなることが確認された。しかし、具体的な機序は明らかになっておらず、抑制効果の持続性についても不明であったため、今回、さらなる研究が進められた。

 本グループは、犬腎臓尿細管上皮細胞由来の培養細胞とA型インフルエンザウイルスを使って、クロモジエキスの抗インフルエンザ作用を調べた。まず、ウイルスに感染した培養細胞にクロモジエキスを添加すると、ウイルスによって引き起こされる細胞変性が抑制された。次に、細胞をあらかじめクロモジエキスで処理し、エキス除去後にウイルスを感染させた場合は、感染後のウイルスの増殖が抑制された。さらに、このウイルスの増殖抑制作用は、24時間以上経過した後も維持されていることがわかった。

 今回の研究により、クロモジエキスが宿主細胞に働きかけて感染抑制効果を示すこと、クロモジエキスのウイルス抑制効果が持続的であることが示唆された。

 インフルエンザウイルスは細胞との接触により速やかに感染するため、感染前に細胞に感染抑制効果を持たせておくことが望ましいという。クロモジエキスの摂取はインフルエンザウイルス感染症に対する効果的な予防手段だと言え、今後、その作用のより詳細な解明が待たれる。

参考:【信州大学】和製ハーブ「クロモジ」エキスの、インフルエンザウイルス増殖抑制効果は、長時間持続する可能性があることを解明(PDF)

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大学ジャーナルオンライン編集部

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