1歳の赤ちゃんが空間的に上に立つ人を目上の存在と感じていることを、京都大学大学院教育学研究科の森口佑介准教授、九州大学大学院人間環境学研究院の橋彌和秀准教授らの研究グループが突き止めた。目上、目下といった人間関係はこれまで、言語を学ぶ中で認識すると考えられてきたが、もっと早い段階で身に着けていたことになる。
京都大学によると、研究グループは表彰台の上下に並んだキャラクターが物を取り合う動画を作り、上にいるキャラクターが勝つ動画と、下にいるキャラクターが勝つ動画を流して、1歳児18人の反応を見た。
その結果、上が勝つ動画を見たあとは平均10秒で画面から目を離したのに対し、下が勝つ動画だと16秒かかっていたことが分かった。研究グループは優位なはずの上のキャラクターが負けたことが1歳児の予想に反し、驚いたためでないかとみている。
世界各国でオリンピックの表彰台など高い場所には勝者が立つなど、より上の空間にいる人が社会的な地位が高いと考えられている。目上、目下という人間関係の上下を指す言葉はどの国にもあり、人間の上下関係と空間的位置の結びつきが言語を介して獲得されるとされてきたが、その仮説に疑問を投げかける研究成果となった。
研究グループは今後、赤ちゃんが親を見て自ら学んだのか、生まれつき身に着けているものなのか、研究を進めることにしている。