桜美林大学、東京都健康長寿医療センターと株式会社 明治の共同研究グループは、軽度認知障害の高齢者において、白カビ発酵チーズ(カマンベールチーズ)の摂取が、認知機能との関連が報告されているBDNF(脳由来神経栄養因子)を上昇させることを確認した。

 カマンベールチーズ摂取による認知症予防効果を示唆する基礎的な研究成果はこれまでも報告されていたが、今回、世界で初めてヒトを対象とした試験でカマンベールチーズ摂取による認知症予防の可能性を示唆した。

 BDNF(脳由来神経栄養因子)とはうつ病やアルツハイマー型認知症、記憶・学習などの認知機能との関連性が報告されている神経栄養因子の1つで、加齢とともに認知症でも低下することが報告されている。

 今回、東京都に居住する70歳以上の高齢女性689人のうち、軽度認知障害と判断された(※1)高齢女性71人を対象として、白カビ発酵チーズ(カマンベールチーズ)とカビ発酵していないプロセスチーズ(対照チーズ)の摂取によるBDNFへの影響を評価する試験を実施した。

 対象者を無作為に2群に分け、1つの群には市販の6Pカマンベールチーズを1日2ピース、対照群には市販の6Pプロセスチーズを1日2ピース、それぞれ3ヶ月間摂取して血中BDNF濃度を測定した。その後、3カ月間のウォッシュアウトを経て、摂取する食品を群間で入れ替え同様に測定したところ、カマンベールチーズ摂取時には、対照チーズ摂取時と比較して、血中BDNF濃度の変化が有意に高い値を示した。

 この結果から、軽度認知障害の高齢者においてカマンベールチーズ摂取によるBDNF上昇作用が示された。

(※1):自覚的なもの忘れの訴えがあり、認知機能を確認するテスト(MMSE)の結果が23~26点の方を軽度認知障害と判断。

論文情報:【Journal of the American Medical Directors Association (JAMDA)】The effects of mold-fermented cheese on brain-derived neurotrophic factor in community-dwelling elderly Japanese women with mild cognitive impairment: A randomized, controlled, crossover trial

大学ジャーナルオンライン編集部

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