金沢大学新学術創成研究機構の河合望教授を隊長とする日本エジプト合同・北サッカラ調査隊は、エジプトのサッカラ遺跡で初めて、ローマ支配期(1~2世紀)の未盗掘のカタコンベ(地下集団墓地)を発見した。
この調査研究は、早稲田大学、東日本国際大学、国立科学博物館、カイロ・アメリカン大学、エジプト考古省の研究者と共同で実施された。調査隊は、新王国時代(前1550~1069年頃)の高官の岩窟墓を調査する目的で、2017年8月から古代エジプト王朝時代の中心的都市メンフィスのネクロポリス(古代の墓地)であるサッカラ遺跡北部の発掘を開始。2019年8月から9月までの調査で、ナイル川流域で初の、ローマ支配期の未盗掘のカタコンベを発見した。
カタコンベの岩窟墓内部には、数十体のミイラを含めた遺体がほぼ手付かずの状態で埋葬されていた。さらに、エジプトの神々とギリシアの神々が描かれたギリシア文字が掘られた石碑や、エジプトのイシス女神とギリシアのアフロディーテ女神が習合したイシス・アフロディーテ女神の像などが出土した。
この発見により古代エジプトの文化と古代ギリシア・ローマの文化の融合に関する貴重な資料を得ることができ、ローマ支配時代のエジプトについての今後の研究の進展が期待される。
本研究成果は2019年11月5日にエジプト政府考古省から公式に発表された。