アルカリ性を呈する建設汚泥を安価・大量に中性化する再生土製造法を、横浜国立大学、domi環境株式会社、ジャイワット株式会社、再資源化研究機構およびエコラボ株式会社からなる産学共同研究グループが開発した。
産業廃棄物の中でもトンネル建設工事などにより発生する建設汚泥の再資源化率は、アスファルト塊やコンクリート塊の再資源化率に比べて低く、頭打ち傾向にあるという。その理由は、建設汚泥を原料とした再生土はアルカリ性を示すことが多く、利用用途が限定されてしまう上、中和処理などを加えて再資源化するには労力とコストがかかるためだ。
本グループは、アルカリ性建設汚泥を低コストで中性化して高品質の再生土を製造する技術の確立を目指して共同研究を進めてきた。そして今回、実用化に成功した再生土製造法は、次のような工程からなる。
まず、アルカリ性の建設汚泥に固化材等を混合して改質する(改質固化工程)。次に、吸水性改質剤を添加しヘドロ状から半固体状になるまで養生する(改質固化養生工程)。次に、解砕機能を有する土質改良機で細粒化し、再生土として利用しやすい粒度に調整する(ほぐし造粒工程)。さらに養生して水和反応を促進させると、建設汚泥はサラサラの細粒固化土となる(水和反応促進養生工程)。最後に、炭酸ガスを曝して再生土を中和する(炭酸ガス接触工程)。
本技術により、既存の改質剤・機械・設備等で、安価・大量・確実に建設汚泥から中性域の良質な再生土を製造でき、その利用範囲は大きく拡大するとみられる。また副次的な効果として、炭酸ガス接触工程では炭酸ガスを土壌中のアルカリと反応させて炭酸カルシウムとして固定させるため、炭酸ガス排出削減効果も期待できるとしている。