九州大学病院の加藤隆弘講師、神庭重信名誉教授、米国オレゴン健康科学大学のアランテオ准教授は、国際的に通用する病的なひきこもりの診断評価基準を新たに開発した。今回の基準が社会的な孤立を把握するための疫学調査に利用されることで実態把握に貢献すると期待されている。
九州大学によると、新しい基準ではひきこもりの前提を病的な社会的回避または社会的孤立状態にあり、自宅にとどまって物理的な孤立にあることとした。そのうえで、そうした状況に対し、機能障害があるか、本人や家族が苦悩している状態をひきこもりと規定した。6カ月以上その状態が続けば「病的なひきこもり」、3カ月以上6カ月未満を「前ひきこもり」としている。
外出頻度が週2~3日程度は軽度、週1日以下を中等度、週1日以下で自室からほとんど出ないケースを重度と分類した。判断の際の必須項目ではないが、孤独感の有無や対人交流の欠如、併存症の有無を評価することも重要と付け加えている。
ひきこもりは国内だけでなく、世界的に増えているとされ、多くの国で報告が出ていることから、国際的に通用する基準の設定が求められていた。