大阪大学が実用化研究を進める革新的酸化剤「要時生成型二酸化塩素水溶液(MA-T®)」が、新型コロナウイルスを1分間の接触試験で98%以上消毒できることが実証された。
MA-T®は、株式会社エースネットが17年の歳月をかけて開発した除菌・消臭剤のシステムで、ANA、JAL、PEACHなど日本のほぼ全ての航空機で採用され、多くのホテルでも利用されている。
大阪大学の研究によって2015年、MA-T®は反応すべき菌やウイルスが存在する時にのみ、有効成分である二酸化塩素を必要な量だけ水の中で生成する「要時生成型二酸化塩素水溶液」であることが明らかになっている。さらに、MA-T®を0.01%含む水溶液が、2002年、2012年にそれぞれ流行したSARSコロナウイルスおよびMERSコロナウイルスを1分以内に消毒できることがこれまでに同学微生物病研究所の松浦善治教授らによって実証されていることから、今回、新型コロナウイルスに対しての有効性も検証したところ、新型コロナウイルスを1分以内に98%消毒できることが確認された。
大阪大学は、MA-T®を用いた安全かつ有効な空間除菌のためのプロトコルの開発について、医学部附属病院、歯学部附属病院、微生物病研究所とも連携して基礎研究を進めている。5年後には海外にて院内感染を制御する臨床試験が計画されているというが、現況を踏まえ、これを前倒しして、院内感染を防ぐ取組や噴霧器の設置を検討しているという。
MA-T®は反応すべき相手となるウイルスや菌が存在しなければ主成分である亜塩素酸イオンの水溶液として存在するため、安全性、安定性に極めて優れた除菌・消毒剤だ。新型コロナウイルスに対する有効性も明らかになったことで、医療現場における二次感染の防止のほか、マスクや防御服に対しても消毒して直ぐに使える液剤として役立つことが期待される。