新型コロナウイルス感染症の急速な拡大により医療従事者を守る個人防護具の品不足が深刻化している。大阪大学はメガネフレームの世界的メーカー「シャルマン」(福井県鯖江市)と連携し、世界で初めて、クリアファイルをシールドに使う非常に安価なフェイスシールドの開発に成功。世界中のどこでも簡単にフェイスシールドを製作できるよう、フレーム部分の3Dデータと、装着の手順ビデオを4月1日から公開している。

 開発にあたったのは大阪大学大学院医学系研究科の中島清一特任教授(常勤)、室崎修招へい教員(次世代内視鏡治療学共同研究講座)。「現地にある、ありふれたものを材料に、近年安く性能が良くなった3Dプリンタで印刷できるようにすれば、現地で簡単に調達、製作できるようになり、地球規模での課題解決につながる」という考えから、シャルマンの持つフレーム造形技術や経験と「どこにでもあるクリアファイルをシールドに転用する」アイデアを結合。大阪大学が有する最新のバーチャル・エンジニアリング技術によって、着想からわずか3日で完成させた。

 中島清一特任教授(常勤)は「ヨーロッパのドクター仲間たちが、さかんにコロナ対策品のアイデアを発表したり情報交換したりするなかで、自分でも何かできることはないかと考え、得られた成果です。柔軟な発想力と、大学で整備してきたバーチャル・エンジニアリングの手法がうまく結合し結果に繋がったと思います。」とコメント。データは4月1日から公開されており、現在品不足が深刻な医療現場や今後感染拡大が懸念されるアフリカ諸国において活用が期待される。

参考:【大阪大学】3Dプリンタとクリアファイルで作れるコロナウイルス対策のフェイスシールド

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