急速に普及を続ける加熱式たばこの喫煙率が若者と高所得者で高くなっていることが、東北大学大学院歯学研究科の相田潤准教授らの調査で明らかになった。研究チームは加熱式たばこの普及が喫煙率低下を妨げる可能性があるとみて、喫煙者の属性を考慮した規制政策が必要としている。
東北大学によると、これまでの研究で若者や高所得者の喫煙率が低いことが報告されているが、加熱式たばこ喫煙者の特性を調べた事例は多くなかった。そこで研究チームは2017年に実施された喫煙に関するウェブ調査に回答した男女計4,926人の年齢と所得を分析した。
その結果、対象者のうち、非喫煙者は全体の82.8%を占める4,077人、紙巻きたばこのみの喫煙者は14.2%の700人、加熱式たばこ喫煙者は3.0%の149人だった。これを年齢で分析すると、加熱式たばこは男性で20代が60代の7.90倍、女性で9.28倍喫煙していることが分かった。
男性の加熱式たばこ喫煙者を年間所得で分析してみると、200万円未満に比べて300万円~399万円が2.67倍、400万円以上が2.93倍使用していた。
一般に若者や高所得者の紙巻きたばこ喫煙率は低いとされてきたが、加熱式たばこに関していえばこれとは逆の結果が出ている。研究グループは今後、加熱式たばこの普及が続けば、年を追うごとに減少してきた日本の喫煙率に影響を与える可能性があるとみている。