東北大学大学院経済学研究科の吉田浩教授らが2015年以前の都道府県別合計特殊出生率(※1)を正しい方法で再計算したところ、全都道府県で2005年がそれまでの最低で、その後の回復が東北地方で停滞していることが分かった。岩手、宮城、山形、栃木の4県は2019年が過去最低に落ち込んでいる。
東北大学によると、吉田教授らの研究グループは厚生労働省が発表する都道府県別合計特殊出生率の指標値作成方法に問題があることを指摘し、厚労省が2016年以降の指標値を改訂したが、2015年以前の指標値は改訂されていない。そこで、吉田教授らが正しい方法で2015年以前の指標値を再計算した(通称:東北大出生率)。
その結果、全都道府県で2005年にそれまでの最低の合計特殊出生率を記録したあと、秋田県が2010年、福島県が2011~2012年に過去最低値を更新した以外、反転局面に入っていることが明らかになった。
しかし、2019年は東北地方を中心に合計特殊出生率の大幅な下落が見られ、岩手県1.35、宮城県1.23、山形県1.40、栃木県1.39と4県が過去最低を記録した。特に宮城県は東京都に次いで全国の都道府県で2番目に低い数字になっている。
2005年から2019年の合計特殊出生率回復状況をランキングにすると、トップスリーは宮崎県0.25、長崎県0.21、徳島県0.20と南国が占めたが、最低の岩手県がマイナス0.06を記録しているのをはじめ、青森県を除く東北5県と栃木県が2005年の指標値を下回っている。
※1 合計特殊出生率 1人の女性が15歳から49歳の間に産む子どもの平均数