慶應義塾大学病院とWHILL株式会社は、院内地図情報をもとに患者を搬送する自動運転システム(WHILL自動運転システム)の実証実験を開始した。パーソナルモビリティを使って自身の操作で院内の目的地まで移動することが可能となるシステムで、患者の安全な移動と、病院スタッフの負担軽減を目指す。

 WHILL自動運転システムは、パーソナルモビリティに自動運転・衝突回避機能などを搭載した「WHILL 自動運転モデル」と、複数の機体を管理・運用するシステムから構成される、歩道・室内領域のための自動運転システム。あらかじめ院内の地図情報を作製し、地図情報を記憶した自動運転、衝突回避機能を搭載したパーソナルモビリティが、センサー群で探知した周囲の状況を解析しながら運行する。搭乗者は、出発時に設定した目的地に操作不要で移動することができる。

 今回の実験では、慶應義塾大学病院の患者を所定の場所に自動運転モードで搬送し、利用終了後は無人運転によって所定の場所に戻る。期間は2020年9月1日~2021年3月31日。

 院内の診療エリアが広くなると、長距離歩行に不安がある、足腰に障害があるなど自分で目的地まで移動するのが困難な患者には負担が増してしまう。今回の取組みにより、院内を安全に的確に移動する手段を提供することで、歩行時の転倒防止を図り、快適な医療環境を整える。同時に病院スタッフの負担軽減を同時に達成することを目標としている。

 慶應義塾大学病院は、2018年にSociety 5.0を実現する内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムの「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」事業の公募に採択され、病院のIT化・AI化を推進している。

参考:【慶應義塾大学】自動運転システムを利用したパーソナルモビリティによる患者さんの院内移動に向けた実証実験の開始(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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