工学院大学(東京都新宿区)は、神戸学院大学(兵庫県神戸市)と東北福祉大学(宮城県仙台市)の3大学共同で設立した「社会貢献学会 東日本大震災支援委員会」を中心に“現地へ行けなくても復興の手助けをしたい”と考える人の気持ちをカタチにし、海水や泥で汚損した大切な思い出の写真を修復する「あなたの思い出まもり隊」プロジェクトに取り組みました。活動開始から5年が経過し、依頼を受けたすべての写真修復作業が終了。2016年2月16日に活動報告会を開催しました。
同プロジェクトは、震災の被害を受けなかった工学院大学と神戸学院大学が連携し、2011年4月より活動を開始。同年7月から学生を中心に教職員や社会人が参加して活動を本格的に始動し、参加ボランティア総数は両大学で2,330名にも及び、修復し依頼者へ届けた写真は36,184枚にのぼりました。
写真修復は、被災地から送られてきたアルバム写真を1枚ずつ確認し、丁寧にはがすことから始まり、数ヶ月にわたる修復作業を経て被災者の元へ戻されます。 はがされた写真は「修復可能なもの」と「そうでないもの」に分類、スキャニングされ、しみ・汚れ・破れを画像処理ソフトで補修。新しい写真として蘇生させていくその工程は地道で、なかには1枚を修復するのに数時間を要するものもあり、時間と根気が必要とされる作業となりました。
報告会では、当時、工学院大学の大学院生として被災地に入り、ボランティア活動に参加した平本達也さん(工学院大学TKK助け合い連携センター)がプロジェクトの活動概要について説明。「復興支援をしたいという強い想いはあったものの、時間の制約 でなかなか東北まで赴くことができなかった。そこで東京にいてもボランティア活動ができる本プロジェクトへの参加を決めた」と、その時の心境を語りました。
また、同プロジェクトの発案者である舩木伸江准教授(神戸学院大学現代社会学部社会防災学科)らも参加し、「依頼者には、直接会わない活動に日々取り組んでいたので、ボランティアのモチベーション維持が大変だった。しかし、直接お会いできない依頼者と手紙を交わし、SNSで作業状況を発信することで、顔の見えない関係をつなぐことができた」と振り返りました。