加齢により記憶力が低下することでソフトウエア技術者が特定プログラムを理解するのに時間がかかるようになることが、近畿大学理工学部の角田雅照准教授らの研究で明らかになった。ソフトウエア開発人員の不足が社会的な問題になっているだけに、記憶力の低下を補う方法の開発が中高年労働者の有効活用につながるとみられる。
近畿大学によると、角田准教授らは記憶能力の高低が理解時間に影響しにくいプログラムと影響しやすいプログラムを用意し、22歳から24歳までの24人で構成するグループと、33歳から64歳の8人で構成するグループに分けてプログラムの理解時間を計測した。
その結果、記憶能力の高低が理解時間に影響しにくいプログラムでは若いグループと年配のグループで理解時間に差がなかった。しかし、記憶能力の高低が理解時間に影響しやすいプログラムだと、年配のグループの理解時間が長くなっていた。角田准教授らは年配のグループは常に理解時間が長くなるのではなく、記憶能力を必要とする場合に長くなるとみている。
ソフトウエア開発現場では、「保守」と呼ばれるプログラムの修正作業の割合が高い。この作業にはプログラムへの理解が欠かせず、理解に時間がかかるほど作業効率が低下する。角田准教授らは今回の研究結果から年配者の記憶能力低下を補うソフトウエアを開発できれば、中高年労働者を有効活用できると考えている。