近年注目を集めるモノのインターネット(IoT)やサイバーフィジカルシステム(CPS)をはじめとする次世代のネットワーク・サービスでは、無数の機器がネットワークに接続されるため、ハードウェアの不正な流用、偽造、改ざんによる脅威が危惧される。

 こうした悪意ある攻撃を防ぐために、ハードウェアの認証(真贋判定)の重要性が高まっており、ハードウェアの“指紋”とも呼ばれる固有の乱数値を出力する機能(PUF:Physically Unclonable Function、物理複製困難関数)を利用したハードウェア認証が有望な技術とされている。しかし、この技術は制御不能なハードウェアの微小な違いを利用しているために、一般に不安定・非効率であり、安定かつ効率的に使いこなす手法が強く求められていた。

 こうした中、今回、東北大学電気通信研究所のグループは、PUFを用いてハードウェアの正当性を認証する新方式を開発したと発表。この新方式では、2進数で表されるPUF出力の偏り(0と1の割合)を棄却サンプリングに基づく手法で効率的に解消でき、PUF出力の偏りに伴う安全性の低下を防げるという。つまり、質の悪い(安全性の低い)“指紋”であっても質の良い(安全性の高い)“指紋”に効率的に抽出・変換して認証するため、様々な“指紋”を安心して使用することが可能になる。

 また、世界最高の変換・認証効率により、従来比で半分以下という実装コストの大幅な削減も達成しており、これまでハードウェア認証の搭載が困難であったようなセンサや超小型情報通信機器に対しても広く適用が期待されるという。

 今後は、本技術を実際のシステムに搭載して実証実験を行いながら、新規デバイスへの応用を進めていくとしている。

論文情報:【 IACR Transactions on Cryptographic Hardware and Embedded Systems】Rejection Sampling Schemes for Extracting Uniform Distribution from Biased PUFs

大学ジャーナルオンライン編集部

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