東京大学は総長選考会議を開き、五神真総長の任期満了に伴う次期総長予定者に藤井輝夫理事・副学長を選出した。任期は2021年4月1日から2027年3月31日までの6年間で、第31代総長となるが、選考過程の透明性や候補者の属性の偏りなどに疑問の声が相次いでいる。
東京大学によると、藤井副学長は1964年生まれの56歳。東京大学工学部から東京大学大学院工学研究科へ進み、東京大学生産技術研究所助教授、理化学研究所研究員、東京大学生産技術研究所教授、所長などを経て2018年から副学長を務めている。専門は応用マイクロ流体システム。
選考に際し、第1次候補者の中で最有力だった人物が第2次候補者に選ばれず、第1次候補者に文系出身者や女性がいたにもかかわらず、属性が偏った3人が第2次候補者に残ったのに疑問があるとして、6人の教授が総長選考会議の小宮山宏議長に質問状を提出したほか、元理事有志11人が選考の一時停止を求める要望書を提出した。
第2次候補者の名前が学外に公表されず、第2次候補者の人数が「5人程度」から「3~5人」に変更され、最少人数の3人しか選ばれなかったことにも、疑問の声が上がっている。
小宮山議長は「選考開始時に示した求められる総長像に照らし合わせて慎重に審議し、藤井副学長が次期総長にふさわしいと判断した」とのコメントを発表したが、疑義が噴出する中での選出となっただけに、混乱が尾を引きそうだ。