不妊治療を開始した日本女性の6人に1人が離職し、「非正規社員」や「学歴が大卒未満」、「職場でのサポートがない」、「不妊期間が2年以上」が離職の要因となっていることを、順天堂大学医学部の今井雄也大学院生、遠藤源樹准教授、谷川武教授、黒田恵司非常勤講師らの研究グループが突き止めた。世界初の疫学研究で、不妊治療と就労の両立支援や少子化対策、女性の活躍推進に役立つことが期待される。
順天堂大学によると、研究グループは全国の不妊治療実施医療機関と共同研究班を立ち上げ、2018年8月から医療機関の外来で大規模な疫学研究を始めた。就労実態について回答してくれた1,727人分の質問票を分析した。
その結果、不妊治療開始時に就労していた女性1,075人の女性のうち、16.7%に当たる179人が離職していた。さらに、離職リスクの点で「非正規社員が正規社員に比べて2.65倍高い」、「大卒未満の女性が大卒に比べて1.58倍高い」、「不妊治療に対する職場のサポートがない女性が職場のサポートがある女性に比べ、1.91倍高い」、「不妊期間が2年以上の女性が2年未満の女性より1.82倍高い」ことが分かった。
日本国内の出生数が減少する中、仕事を続けながら、不妊治療をしている女性は年々増えており、不妊治療と就労の両立が社会の大きな課題に浮上している。しかし、職場の無理解などから、離職に追い込まれる女性は後を絶たない。研究グループは不妊治療に対する助成だけでなく、不妊治療中の社員を分け隔てなくサポートする働き方改革が必要と指摘している。