愛媛大学を中心とした国立保健医療科学院、東京大学、琉球大学の共同研究チームが、妊娠中の牛乳摂取が産後うつ症状に予防効果があることを示唆する研究成果を世界ではじめて発表、「Nutrition Research」に掲載された。

 産後うつとは、憂鬱な気分や意欲の低下を引き起こすうつ病の一種であり、ホルモンバランスの変化や出産による疲労、子育てに対する不安や睡眠不足などさまざまな要因が重なることで発病するとされている。

 乳製品の摂取と産後うつとの関連性について調べた研究は、これまでに日本人を対象としたものが1つあるのみで、この研究でも乳製品の摂取と産後うつとの間で有意な関連は認められていない。今回、研究グループは母親と生まれた子を妊娠中から追跡調査した「九州・沖縄母子保健研究」のデータを活用し、生後3~4か月時に調査に参加した1319名の母親を対象として、栄養と産後うつとの関連を調べた。

 調査の結果、牛乳の摂取量が0だったグループの産後うつの発生頻度を1とした場合、妊娠中の牛乳摂取がもっとも多い(1日あたり平均187.5グラム)グループは0.51とほぼ半減しており、牛乳を摂取することで産後うつのリスクが有意に低下することを世界で初めて認めた。ちなみに総乳製品、ヨーグルト、チーズ、カルシウム、ビタミンD を摂取した場合については、いずれも産後うつとの有意な関連は認められなかったという。

 産後女性の10~15%が産後うつにかかるといわれている現代において、この結果は関心度の高いものといえる。今後、牛乳の摂取と産後うつリスク低下との関連を確実なものにするために、さらに研究を重ねて確実な証拠を蓄積していくことが望まれる。

大学ジャーナルオンライン編集部

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