慶應義塾大学商学部の濱岡豊教授が全国の製造業に対する2011年の東日本大震災や昨今の新型コロナウイルス感染拡大が与えた影響を調べたところ、震災で大きな影響を受けた企業が約2割にとどまったのに対し、新型コロナは約6割が売上減に陥っていることが分かった。濱岡教授は今後、このデータを基に政府や地方自治体、企業への提言をまとめる。

 調査は2020年11月、全国の製造業1,283社(上場628社、非上場655社)の製品開発部門長を対象に実施、12月末までに95社(上場33社、非上場62社)が回答した。

 それによると、東日本大震災とそれに伴う福島原発事故では、「非常に大きな影響を受けた」「大きな影響を受けた」と答えた企業は2割程度で、原材料の調達や製品の流通など主にサプライチェーンが大きな打撃を受けた。

 これに対し、新型コロナでは6割程度の企業が売上減に直面している。新しいニーズを発見した企業は約3割、新しい販路を開拓した企業は約1割だった。緊急事態宣言に対し、国や自治体の基準より厳しく出社制限をしている企業は1割程度にすぎず、約7割は国や自治体の指針が出るのを待って出社制限などの措置を講じている。

 濱岡教授は「調査対象は上場、非上場とも大企業中心で、中小企業はもっと厳しい状態に追い込まれている。その意思決定に大きな影響を及ぼす国や自治体は迅速で合理的な対応をする必要がある」と指摘している。

参考:【慶應義塾大学】東日本大震災、新型コロナウイルス、2つの緊急事態が国内の製造業に与えた影響を調査(PDF)

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