新型コロナウイルス感染防止策として広く利用されているアクリルパネルやビニールシートによる空間遮断が、空気を滞留させて換気に悪影響を及ぼし、結果としてマイクロ飛沫感染の一因となる可能性があることを、電気通信大学i-パワードエネルギー・システム研究センターの横川慎二教授らが発見した。
電気通信大学によると、研究グループには産業医科大学、宮城県結核予防会の研究者も参加した。
研究グループは宮城県でマイクロ飛沫感染によるとみられる新型コロナのクラスターが発生したのを受け、4月から現地調査してきた。クラスターが起きた事務室は飛沫感染対策で向かい合った机の列を隔てるように高さ1.6メートルのビニールシートが設置されていたが、この遮蔽により室内が5つの区画に分断され、このうちの2区画でクラスターが発生した。
調べたところ、クラスターが起きた区画で換気が十分に機能していなかったことが分かった。ビニールシートで遮蔽したことにより、区画内でマイクロ飛沫による感染があったとみられている。熱流体シミュレーションによる解析結果からも実証された。
研究グループはアクリルパネルやビニールシートで飛沫対策をする際に区画ごとの換気を十分に行う必要があると結論づけている。