横浜市立大学と横浜銀行は財務データの活用で不正会計を検出することを目的に共同研究を始めた。横浜市立大学大学院国際マネジメント研究科の張櫻聲(チャン・インシン)教授を代表とする研究グループが、巧妙化が進む不正会計に挑む。
不正会計は一般に、企業が自社の財務状況を意図的に誤って報告する行為を指す。架空の売り上げを計上し、利益を過大に見せたり、負債を少なく見せるために費用を隠蔽したりするなどするケースがある。近年、手口がますます巧妙化し、融資現場で確認作業が難しくなっている。
研究では、まず不正会計の類型化と、融資現場における「勘」の可視化に取り組む。AIによる検知だけでは捉えきれないリスクの兆候や違和感など、横浜銀行担当者が感じ取る非定量的情報を分析し、最終的にAIと人間の判断を融合させた新たな不正会計検知モデルの構築を目指す。研究期間は約1年間を予定しており、財務会計とデータサイエンスの両面からビジネス社会の課題解決に資する成果を創出し、地域経済の発展に寄与することを目的としている。
横浜市立大学と横浜銀行は2007年、産学連携の基本協定を締結し、地域経済の活性化や産学官ネットワークの構築を目指してきた。その中で横浜銀行が持つ不正会計の知見を検知に活用できないかとの相談があったのをきっかけに、共同研究に発展した。
参考:【横浜市立大学】不正会計の検出における財務データの活用法 ~横浜市立大学と横浜銀行が、産学連携協定に基づき共同研究を開始~