夜型人間は朝型に比べ、腰痛持ちが多いことを、藤田医科大学医学部の研究グループが約4,700人の労働者集団を分析して発見した。夜型の人は腰痛を有する割合が高いとするいくつかの報告があるが、日本人の多様な年齢層を対象にした研究はなかった。

 研究グループは日本の公務員4,728人を対象に腰痛の有無や活発に活動できる時間帯(クロノタイプ)が朝型、夜型、中間型のどれに当てはまるかを尋ね、結果を集計して分析した。

 それによると、調査対象者に朝型が38%、夜型が11%、中間型が51%おり、対象者全体の30%が腰痛持ちだった。このうち、夜型の腰痛持ちは36.2%で、朝型の28.7%に比べて腰痛持ちが多かった。夜型は朝型より運動習慣が少なく、睡眠時間が短かかったが、それに加えて年齢や性別、職業、残業時間、電子メールの使用時間、体格指数、喫煙の有無、抑うつ症状などを考慮して分析したところ、夜型は朝型より腰痛を持つ確率が1.46倍高いことが分かった。

 2022年の厚生労働省国民生活基礎調査によると、腰痛は国民が最も多く訴える自覚症状で、腰に負担が大きい仕事や肥満、運動不足、喫煙、心理的ストレスなどさまざまな原因が挙げられる。

 研究グループは今回の調査結果について、夜型と腰痛に比較的強い関連があることが明らかになったとして、長期にわたって調査を継続するコホート研究や体内で24時間のリズムを制御する時計遺伝子と痛みの関連解明が必要とみている。

論文情報:【European Spine Journal】Association between eveningness and low back pain among public servants in Japan: a cross-sectional analysis of the Aichi Workers’ Cohort Study

藤田医科大学

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