東京大学大学総合教育研究センター中原淳准教授と総合人材サービス企業「テンプホールディングス株式会社」は、2015年10月から共同研究として、従来のアルバイト・パートの採用計画などを抜本的に見直し、新たな施策の検討・実行を目指す「アルバイト・パートの成長創造プロジェクト」を開始。その共同研究で得られたデータや知見をまとめた書籍『アルバイト・パート 採用・育成入門』が2016年11月1日に刊行された。
厚生労働省が発表した「平成27年8月労働経済動向調査 パートタイム労働者過不足判断」では、すべての産業で、アルバイト・パートの雇用状況に対し人手不足感を感じている結果となった。特に宿泊業、飲食サービス業ではその傾向が顕著で、2020年の東京五輪では、アルバイト・パート人材の大幅な需要増加が見込まれ、人手不足感は益々深刻になっていく可能性が高いという。
こうした現状を背景に、従来のアルバイト・パートの採用計画や採用手法、店舗マネジメント手法等の抜本的な見直し、新たな施策の検討・実行を目指し、中原准教授がプロジェクトリーダーを務める「アルバイト・パートの成長創造プロジェクト」が発足。アルバイト・パート人材を多数雇用している外食・小売・運輸の大手7社8ブランドの現従業員、管理者(面接担当者)、離職者、求職者を対象に、合計約25,000人に及ぶ大規模な定量調査を実施し、アルバイト・パートの採用、定着、育成およびリテンション(離職防止)に関する課題抽出や解決策の提案に取り組んできた。
刊行された書籍では、このプロジェクトの調査から収集した現場の声と人材育成の理論の科学的見地をベースに、求職者から「ここで働きたい!」と思われる面接の方法や、主婦・学生・シニアといった属性別の効果的なマネジメント方法などが紹介されている。