大豆発酵製品である“イムバランス”に喘息の気道炎症を抑制する効果があることを、大阪市立大学のグループが動物モデルで確認した。

 気管支喘息は持続する気道炎症により呼吸困難や咳嗽などの症状が出現し、複数の薬物を併用した治療が行われるが、未だ根本的な治療法が見つかっていない肺疾患である。喘息発作に対しては様々な副作用もある高用量のステロイドが使用されることから、新たな予防・治療法の確立が望まれている。

 一方、大豆の摂取とアレルギー疾患との関連は過去にも疫学的に報告されており、大豆の成分には何らかの抗アレルギー作用がある可能性が示唆されている。本研究で使用された大豆発酵製品であるイムバランスも、動物実験でアトピー性皮膚炎やピーナッツアレルギーに対する効果が報告されているというが、これまで気管支喘息に対する効果については報告がなかった。

 そこで今回、本グループでは、喘息モデルマウスにイムバランスを添加した飼料を与えて気道炎症に及ぼす影響を調査した。

 その結果、イムバランス投与群では、BALF(気管支肺胞洗浄液)中の炎症細胞である好酸球数が有意に減少し、気管支周囲の炎症や粘液産生が抑制されることが確認された。また、BALF中の好酸球性炎症を誘導するサイトカインの発現も、通常飼料を与えたマウスと比較してイムバランス投与群では有意に抑制されていることがわかった。

 この発見により、イムバランスは現在の気管支喘息の治療法と比べて副作用の少ない新たな治療手段の候補として、さらなるメカニズムの解明を通じて創薬へとつながることが期待される。また、大豆発酵製品の摂取は、現在の喘息治療に追加する補完的な対処法としても有用と考えられる。

論文情報:【Nutrients】The Fermented Soy Product ImmuBalanceTM Suppresses Airway Inflammation in a Murine Model of Asthma

大学ジャーナルオンライン編集部

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