不幸について日本人は日ごろの行いの結果と思い、米国人は不幸も人生の糧と考える-。近畿大学国際学部の村山綾准教授、大阪大学大学院人間科学研究科の三浦麻子教授、北海学園大学経営学部の古谷嘉一郎准教授が不幸に対する考え方について日米の比較研究をしたところ、こんな結果が出た。

 近畿大学によると、研究グループは調査会社に委託して日本人88人、米国人81人を対象に調査を実施。突然倒れた街路樹の下敷きになった男性について、窃盗罪で在宅起訴中の高校教師、周囲から人望が厚い高校教師という情報を与え、どのように感じたかを尋ねた。

 回答結果を分析したところ、過去に窃盗を犯した道徳的価値が低い人に対しては日米とも日ごろの行いが悪いなどとする過去の道徳的失敗に因果関係を求める傾向が見られた。さらに、その傾向は日本人の方が米国人より強かった。

 米国人は不幸が将来の糧になると考える傾向が見られたのに対し、日本人は全くの偶然で発生した事故にもかかわらず、報いを受けていると考える文化的な特殊性が見つかった。この特殊性は新型コロナウイルス感染症にかかった患者に対し、無関係な第三者が自業自得と考える不合理な推論と一致している。

論文情報:【Asian Journal of Social Psychology】Cross-cultural comparison of engagement in ultimate and immanent justice reasoning

大学ジャーナルオンライン編集部

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