東京大学は専門分野で特に優れた業績を残し、先導的な役割を果たしているとして、ノーベル物理学賞受賞者で宇宙線研究所所長の梶田隆章特別栄誉教授(58)と、十倉好紀工学系研究科教授(63)の2人に「東京大学卓越教授」の称号を授与した。
「東京大学卓越教授」の称号は、専門分野において特に優れた業績を挙げ先導的な役割を果たす在職中の教授のうち、ノーベル賞の受賞者、文化勲章の受章者、またはそれらに準ずる賞の受賞者が推薦され総長から付与される。2016年10月から施行され、今回が初の受賞となった。
東京大学によると、梶田教授は岐阜県飛騨市の旧神岡鉱山内に設置された宇宙素粒子観測装置による実験で、ニュートリノ振動を確認し、ニュートリノが質量を持つことを実証した。この発見により、ノーベル物理学賞のほか、文化勲章、日本学士院賞、基礎物理学ブレークスルー賞などを受賞している。
十倉教授は物質中の多数の電子が相互作用することで初めて発現する性質の創発物性を対象とする強相関物理学を先導。電子型高温超電導や超巨大磁気抵抗、マルチフェロイクス、磁気スキルミオンなどの現象を発見、開拓するとともに、それらに基づいて高速かつ低エネルギー消費の強相関エレクトロニクスを提唱した。紫綬褒章、藤原賞などを受賞している。