東北大学大学院理学研究科地学専攻の齋藤諒介理学博士(現:宮城県庁)と海保邦夫教授らは、約2億5千万年前の中国の地層から古細菌の新しい分子化石を発見した。

 地球上のあらゆる生物は分類学的に、真正細菌、古細菌、真核生物の3つに大別される。分子時計による研究では、古細菌は約38億年前頃に誕生しているが、その分子化石は38億年前~2億年前にはほとんど見つからないことから、そもそも古細菌の生物量が低かったのか、それとも古細菌の分子化石が分解されて残らないため見つからないのか、分かっていなかった。

 今回、同グループは、中国の約2億5千万年前に堆積した地層から堆積岩試料を採取し、堆積岩中に含まれる有機分析を行い、環構造を持つビフィタン類およびその続成変化生成物を発見した。その中には、これまで発見されていなかった続成変化生成物(古細菌の新しい分子化石)も含まれていた。

 今回の研究で、先行研究で用いられてきた特殊な質量分析計ではなく、より普遍的な質量分析計を使ってこれらの有機分子の同定方法を新たに示したことから、今後、同様の方法での2億年より古い時代に存在する古細菌の分布調査がさらに進むことが期待される。

論文情報:【Organic Geochemistry】:Tentative identification of diagenetic products of cyclic biphytanes in sedimentary rocks from the uppermost Permian and Lower Triassic

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