文部科学省は、2018年度からの私立大学医学部の収容定員の増加に係る学則変更認可申請について公表した。2017年度で医師確保対策などに基づく臨時定員(317人名)がなくなるため、新たに「地域枠」を設け、同規模の定員を維持できるようにした。
2018年度からの学則変更認可の申請を行った私立大学は、岩手医科大学、自治医科大学、埼玉医科大学、順天堂大学、日本医科大学、関西医科大学、兵庫医科大学の7校で、今回の認可申請に伴い、2017年度の入学定員と比べ12名増加した。
医学部の入学定員については、1982年と1997年の閣議決定により7,625名まで抑制されたが、2006年の「新医師確保総合対策」で医師不足が深刻な10県(青森、岩手、秋田、山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重)で各10名、2007年の「緊急医師確保対策」で、全都道府県で原則各5名の入学定員を増員。さらに、「地域の医師確保の観点からの定員増(地域枠)」「研究医養成のための定員増(研究医枠)」「歯学部入学定員の削減を行う大学の特例による定員増(歯学部振替枠)」などを実施し、2008年度から2018年度までの10年間で、臨時定員1,010名、恒久定員544名(新設による増員を除く)の計1,554名の増員が行われてきた。
そのうち、「新医師確保総合対策」と「緊急医師確保対策」による臨時定員317名は、2017年度で終了する。その代替手段として、都道府県が作成する医療計画などに基づき、奨学金を設けて「地域医療を担う意思」を持つ人を選抜する“地域枠”を設け、2019年度まで“再度の定員増”を行うことが可能となった。
2018年度の“地域枠”では49大学316名増の予定で、そのうち再度の定員増によるものが304名、それ以外の定員増が4大学12名だった。よって、2018年度の国公私立大学(81大学) 医学部入学定員は9,419名で、2017年度の9,420人より1名減少となった。“地域枠”の増員期間は2019年度までとなっているが、今後の取扱いは、その時点の医師養成数の将来見通しや定着状況を踏まえて判断するという。