国立大学協会会長の山極壽一京都大学総長は、2018年度予算の政府原案、税制改正大綱が閣議決定されたのを受け、コメントを発表した。国立大学が寄付を受けやすくする税制改正が盛り込まれたことは評価したものの、若手教員の雇用確保のために実施されてきた若手人材支援事業の廃止は「実質的な経費縮減につながり、残念だ」と批判した。
国立大学協会によると、2018年度予算の政府原案では、国立大学運営費交付金が前年度と同額の1兆971億円になった。施設整備費補助金は2018年度予算で34億円減額されたが、2017年度補正予算で119億円が確保されている。
山極会長はこれらの点について「運営費交付金が2017年度に続く増額とはならなかったものの、極めて厳しい国家財政の中で国立大学に対する理解を得られた」と一定の評価をした。
税制改正大綱では、国立大学に個人が土地、株式など評価性資産を寄付する際の譲渡所得などの非課税措置要件が大幅に緩和されることになった。山極会長は「各方面のご支援の賜物」と感謝の意を示している。
しかし、若手人材支援事業が廃止され、運営費交付金の中で対応するよう求められた点については「運営費交付金予算は1999年の国立大学法人化から2015年度までに1,400億円以上が減額された。教育研究基盤の維持にも苦労する状況の中、支援事業の廃止でさらに経費縮減を迫られることは極めて残念」と強く反発している。