経団連の榊原定征会長(東レ相談役)は福岡市のホテルで開かれた九州経済連合会との懇談会後に記者会見し、2020年度入社以降の採用活動について「2021年度は東京五輪でこれまで通りに採用活動ができない」として見直しを示唆した。2020年度は現行通りとの見方を示している。
経団連によると、現在の採用選考活動は3月に会社説明会、6月に面接をそれぞれ解禁している。適用は2019年度入社までだが、2020年度入社について榊原会長は「現行スケジュールを踏襲するのが自然の流れ」と述べた。
しかし、2021年度入社の採用選考活動時期は7月開幕の東京五輪と時期が重なり、首都圏ではセミナーなどに使う大規模施設が既に予約、占有され、企業の採用選考活動に使用するのが難しくなっている。
榊原会長は「2021年度入社の採用選考活動をこれまで通りに行うのは難しい。12日の会長・副会長会議でいくつかの選択肢をベースに議論したい」と見直しを示唆した。
現行スケジュールが大学3年時に学生を学業に専念させたいとする大学側の意向を踏まえて決めただけに、経団連内には3月より前に採用選考活動時期を前倒しするのを避けたい考えもあるが、3月に説明会と面接を一体で解禁、説明会を前年12月、面接を4月に前倒し、ルール自体の廃止などを検討するもよう。
深刻な人出不足を背景に学生の獲得競争が激化し、経団連非加盟や外資系の企業は優秀な学生の青田刈りを進めている。経団連が時期を前倒しすれば、就活の早期化が避けられなくなりそうだ。