東京大学大学院医学系研究科の小林廉毅教授と歯科医療機器メーカー・ナカニシ(栃木県鹿沼市、中西英一社長)は、虫歯や歯周病など口腔内疾患と、動脈硬化や心筋梗塞の因果関係を調べる共同研究を始めました。ナカニシの全社員880人を対象に歯科検診と健康診断を実施し、小林教授の公衆衛生学教室で長期間の分析を進めます。

ナカニシによると、同社は鹿沼市の本社に歯科検診センターを新設。共同研究に協力する鹿沼歯科医師会から歯科医を派遣してもらうとともに、社員1人当たり年間最大1万5,000円の補助を出し、年1回の歯科検診を社員全員に義務づけます。得られた歯科検診と健康診断のデータを東京大の小林研究室で分析し、口腔内の状態と健康の関連について、因果関係を探っていくことにしています。
虫歯や歯周病など口腔内の疾患は、動脈硬化や心筋梗塞など心臓、血管系の病気を引き起こす要因の1つといわれています。歯周病の関連細菌や炎症性物質が血管内の入ると、動脈硬化を促進すると考えられているからです。歯周病があると心臓病のリスクが15%~37%上昇するという報告も出ています。
しかし、両者の因果関係を証明した研究は、これまでそれほど多くありませんでした。900人近い検診データが長期間にわたって集まるだけに、精度の高い研究結果が期待できそうです。

ナカニシは「口腔の健康管理をすることが、高齢となった際の健康維持に大きな影響を与えることを明らかにし、社員の健康増進のみならず、社会全体の健康維持につなげたい」と話しています。

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