大阪大学大学院医学系研究科の福原淳範寄附講座准教授、奥野陽亮助教らの研究グループは、脂肪組織の酸化ストレスを抑制することで、健康的な肥満を誘導することを明らかにした。
肥満は過食や運動不足により引き起こされるが、肥満といっても、インスリン抵抗性や代謝異常を合併する病的な肥満者と、これらを合併しない健康的な肥満者がいる。この2者を区別する分子メカニズムはこれまで不明であった。肥満状態の脂肪組織では酸化ストレスが増加することが知られていたが、その役割も明らかではなかった。
今回、同グループは、脂肪組織特異的に酸化ストレスを除去または増加した遺伝子改変マウスを作出し、それぞれについて解析した。その結果、脂肪組織酸化ストレスを除去することにより、脂肪組織量は増加する一方、肝臓への脂肪蓄積が減少し、インスリン抵抗性が改善された。つまり、健康的な肥満を誘導することが明らかになった。逆に、脂肪組織酸化ストレスを増加させると、脂肪組織量が減少する一方で肝臓への脂肪蓄積が増え、インスリン抵抗性が悪化する。つまり、病的な肥満を誘導することが明らかになった。
今後、脂肪組織の酸化ストレスを標的とすることにより、健康的な脂質蓄積を誘導し、肥満2型糖尿病などの治療につながることが期待される。