英語の民間試験を入試に活用しないとしていた東京大学は、入試の合否判定に活用する方向で検討を始めた。3月に示したばかりの方針を急転換した格好で、他の国立大学でも導入に向けた動きが加速しそうだ。
東京大学は福田裕穂副学長(入試担当)名の文書で方針転換の意向を明らかにした。それによると、今後は学内にワーキンググループを設置し、英語の民間試験を2020年度以降の大学入学共通テストでどう活用するのか、具体的な検討に入る。検討結果は夏までにあらためて公表する。
「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」の英語4機能を測る民間試験の意義を認め、公平公正の観点から検証が欠かせないとの考えを示した。検討のうえで国立大学協会が3月に打ち出したガイドラインに従って英語4機能評価を実効あるものとする方針。
福田副学長は3月の記者会見で「民間試験を合否判定に使わない」とする考えを示していた。東大側は「発言はあくまで個人的な意見で、正式決定されたものではない」と否定している。
大学入学共通テストでは、英語の試験に従来からのマーク式に加えて民間試験が導入される。大学入試センターは英検、TOEICなど7種類の民間試験を認定しており、受験生は4~12月の間に最大2回受験することになった。
民間試験の結果は各試験の個別成績とともに、語学力を示す国際規格「セファール」の6段階評価が受験する大学に送られる。