大阪大学の山本和久教授らの研究グループは、レーザーの特徴を活かし、ドローンと組み合わせることで画期的、革新的な空中ディスプレイを実現した。災害時の避難誘導や空中広告等での活用が期待される。
研究グループは一昨年、大阪関西万博2025に向けて「レーザーとドローンによる空中サインシステム」を提案し、空中表示の検討を行ってきた。2022年8月9日に、大型ドローンでイームズロボティクス社、大型プロジェクタでヴィーナスレーザー社の協力のもと、万博予定地である大阪夢洲で屋外での大型空中映像投影の実証実験を行った。
その結果、どのような距離にでもピントが合う可視光半導体レーザー走査投影技術と大型でも軽量かつ風圧に強い透過型スクリーン技術をドローンに適用することで、夢洲のような風のある屋外の空中においても安定投影像を得ることができた。
さらに、レーザーの高い輝度や彩度およびレーザー光独特なスペックル(まだら模様)を強調することにより、遠方からでもかつ昼間でも視認できるサインシステムを実現した。
このシステムにより、巨大地震等の大災害発生時における夜間停電時の暗闇の中でも広い範囲から誘導表示が確認でき、住民を安全に避難所へ誘導することができる。さらにイベントなどでの密集を避ける群衆誘導や、防犯パトロール、人の踏み込めない場所での救難情報の表示、また、空中広告や速報ニュース表示、イベントでのアトラクションやエンターテイメントとしても利用可能だ。
研究グループは、今回の事業性の実証により3月10日までの期間でクラウドファンディングを実施して、実用化を目指すとしている。
参考:【大阪大学】防災にも活用!レーザー空中サインシステムの実用化へ―クラウドファンディングを活用し社会実装目指す―(PDF)