静岡大学の北村晃寿教授、国立科学博物館の芳賀拓真研究員らの研究グループは、御前崎の波食台で発見した穿孔二枚貝の化石が、1361年に起こった南海地震とペアをなす「1361 年の正平(康安)–東海地震」が発生した証拠となることを明らかにした。
南海トラフ・駿河トラフで起きた1707年の宝永地震とそれ以降の大地震は、「東海地震」と、その西側で起きる「東南海地震あるいは南海地震」が、数時間から数年の期間を経て、連動して発生していることが多い。このような大地震の起き方を“ペアで発生した”といい、ペアの片方で大地震が発生した状況を「半割れのケース(ケース1)」と呼ぶ。例えば、東側で大規模地震が発生すると、西側で地震発生の可能性が高まるため、ペアで起こりうる大地震に備えることができる。しかしながら、これまで古い時代の地震については十分な情報が得られていなかった。
そこで今回、同グループは、静岡県御前崎の泥岩の穿孔二枚貝(一度穿孔生活をはじめた場所から移動しない)の化石を発見し、年代解析により、この化石を含む隆起が1361年の東海地震によるものだということを突きとめた。この成果により、約650年前の1361年の地震もペアで起きていたことが分かり、ますます「半割れのケース」への対策の重要性が高まるといえる。
本成果は,近い将来の発生が懸念される南海トラフ・駿河トラフで起きる大地震・津波対策を検討する上で重要な資料となることが期待される。
論文情報:【Marine Geology】Japan: Evidence for the 1361 CE Tokai earthquake alongthe Nankai Trough