京都大学と株式会社Dioは、自然災害発生後に自治体が発行する罹災証明書のデジタル化についての共同研究を開始する。
自然災害により家屋等が被害を受けた際に自治体が交付する罹災証明書は、現状においては、被災地に自治体職員が出向き、建物の被害状況を人力で確認、評価した上で発行されている。このため大規模災害では、膨大な労力と時間を有し、早期復興を図る上での課題となっている。建物の被害状況判別のデジタル化が実現すれば、大規模災害発生時に、自治体職員による建物被害の確認作業の負担が軽減され、客観性の高い罹災証明書を速やかに発行が可能となると共に、自治体職員が他の罹災対応ができる時間を創出することができるようになる。
罹災証明のデジタル化は、寺社仏閣など歴史的建造物の三次元デジタルスキャニング、メタバース構築で培った点群情報ビジネスを展開するDioが開発したビジネスモデル。建物の精細な三次元点群データをあらかじめ測定・記録しておき、罹災後に測定したデータとの差分を解析することで、建物の損壊度を判定する。
実証実験では、対象エリア内にある建物の三次元点群データを、3D都市モデルのオープンデータ等を活用して測定、記録する。その後、地震や台風、大雨など自然災害により被害を受けた建物について、小型無人飛行機(ドローン)やGPSで三次元データを測定し、罹災前との差分を、AI(人工知能)を活用して解析。建物の罹災度を数値化することで、客観的かつ迅速に損壊判定を行う手法を検討、検証する。これにより、罹災証明の迅速化とコスト低減につながる自然災害時三次元デジタルデータの検証と基準づくり、社会インフラとしてのデジタル罹災証明の運用方法などを検討する。
今後、複数の地方自治体の協力を得て、2025年3月末まで実証実験を行う。