九州大学大学院歯学研究院の影山伸哉助教、竹下徹教授、山下喜久名誉教授らの研究グループが1歳6カ月検診に訪れた乳児の口腔細菌叢を調べたところ、生後4カ月のころより母親の口腔細菌叢に類似していることが分かった。この1年2カ月の間に乳児の口腔細菌叢が急激に成人に近づいたことを示唆している。
九州大学によると、研究グループは乳児の口腔細菌叢に関する継続調査を進めており、福岡市東区であった1歳6カ月検診に訪れた乳児216人の口腔細菌叢を調査し、生後4カ月時点の調査結果と比較した。
その結果、1歳6カ月児の口腔細菌叢は生後4カ月時点より母親の口腔細菌叢に類似していた。離乳期の食生活の影響が示唆されている。さらに、一部の乳児は成人で見られるバランス異常の兆候が見られ、特に甘味飲料やお菓子の摂取が多い、フルーツの摂取が少ない、離乳が完了していない、親と食器を共有している乳児に多かった。
この結果は離乳期や離乳完了直後の食習慣を適正に管理することによって口腔細菌叢のバランスを健康に保つことができる可能性を示唆している。研究グループは今回の調査結果が口腔細菌叢を制御する予防歯科医療を確立する可能性を秘めているとみている。