佐賀大学理工学部では、2025年度の募集人員において、学校推薦型選抜Iで3名、総合型選抜Ⅱで12名、合計15名の女子枠を設ける。これまで内閣府男女参画局や佐賀大学ダイバーシティ推進室が開催するイベントやセミナーに関わり、女子の理工系進学を促す活動を行ってきたが、さらに進学しやすい環境を整える。

 佐賀大学は「令和5年度大学・高専機能強化支援事業(高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に係る支援)」の選定および大学の収容定員の増化に係る設置計画の認可により、理工学部の入学定員を2024年度に30人(前期日程22人、後期日程8人)増員した。また、同事業では多様な学生の確保に向けた取組を行うことが求められることから、佐賀大学では申請書に「理工学部で5人程度の女子枠入試を検討し、2025年度(令和7年度)入学者選抜から実施する」と記載し、これまで検討を進めてきた。

 2025年入試では、学校推薦型選抜Ⅰにて情報分野3名、総合型選抜Ⅱにて情報、化学、物理学、機械工学、電気電子工学、都市工学の各分野でそれぞれ2名を女子枠として選抜する。これにより理工学部の入学者の2割が女性となり多様性を向上させるほか、大学院博士前期・後期課程への進学を促して高度人材を育成し、科学技術の発展に寄与できる人材の育成を目指す。

 この女子枠の設け方については、適切な評価基準を設けることで公平性を保つとともに、高度な理工系専門人材を育成するための機会均等を提供することを目指す。なお、この枠組みは、女性の理工学分野への参加を奨励するためのものであり、男子学生の機会を制限するものではない。選抜方法等の詳細については、2024年6月中に公表予定の入学者選抜要項にて公表する。

 佐賀大学の女子枠導入により、理工系学部を設置する九州地方の9大学 (九州、九州 工業、 佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島、琉球)の うち、女子枠を導入していないのは、 九州大学、九州 工業大学、鹿児島大学の3 大学となる。

 九州大学は、理学部数学科の2012年度入試一般入試後期で女子枠導入しようとしたことがあるが、男性差別批判が出て、取りやめになった過去がある。以降、新規導入はされていない。

 九州工業大学は、一般選抜に「女子枠」による選抜方法の導入を検討したが、多くの課題もあり、当面の間、導入は見送ると「九州工業大学における女子生徒の理工系進学への取り組み(2024年3月)」の中で発表している。同大学では、総合型選抜および学校推薦型選抜合格者の女子の割合は約30%と比較的高い状況にあるという。

 鹿児島大学は、現時点で2025年度入試の女子枠についての発表はない。

参考:【佐賀大学】佐賀大学理工学部における女子枠の新設について

佐賀大学

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佐賀大学は、1949年に設置された旧佐賀大学と1976年に設置された佐賀医科大学を母体として、2004年に誕生した国立総合大学。6学部6研究科を有し、約5,800名の学部学生が在籍しています。専門分野の知識修得とともに、幅広い教養、他者との協調性、主体的に学び[…]

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