岡山大学学術研究院の長谷井嬢准教授は、人工知能(AI)を活用してがん患者らのメンタルケアをサポートする新システムを開発した。人に話しにくい悩みもAIが24時間365日より沿って聞いてくれ、患者から好評という。
岡山大学によると、サポートシステムは患者との対話を通じて心理状態を理解したうえで、共感的なコミュニケーションを図って患者の不安や孤独感を軽減する。直接的な医療介入はしない。開発に当たっては、岡山大学病院小児医療センターの協力を得て専門家の視点で挙動確認している。
「人に話しにくい繊細な問題をAIだけに話せた」とする患者の声が寄せられており、岡山大学病院のほか、九州大学病院整形外科、岐阜大学付属病院整形外科、名古屋医療センター小児科、東北大学病院整形外科で利用することができる。
さまざまな疾患と向き合う患者は、治療に伴う身体の苦痛や将来への不安、孤独感など多くのストレスにさらされている。特にがん患者は病状の進行や副作用に対する不安、生活への影響など精神的な負担が大きいとされる。
そのメンタルサポートは、病院にとって重要な課題だが、夜間など医療スタッフが十分に対応しにくいことがあるほか、人に話しにくいことなどは患者が一人で抱え込んでしまうケースが多い。長谷井准教授はサポートシステムと医療従事者のケアを併用することでより包括的なメンタルケアが可能になるとみている。
今回のAIシステムは、2024年6月末現在、岡山大学病院、九州大学病院 整形外科、岐阜大学医学部附属病院整形外科、名古屋医療センター 小児科、東北大学病院 整形外科の患者が利用可能。将来的にはより多くの医療機関に展開し患者のメンタルサポートに役立てたいとしている。