岡山大学は、事務職員や図書館職員ら大学職員が大学院で修士、博士の学位取得を支援する新制度を2024年秋からスタートさせる。専門能力だけでなくナレッジワーカーとして新たな価値を生み出す大学職員を育てることで、大学法人経営において複雑化、高度化する業務に対応する。また、それらにより圧迫されていた教員の教育研究時間の確保にもつなげる。

 岡山大学によると、新制度は大学院を教員や研究者を育てるだけでなく、大学職員の専門能力向上を図る場所として活用するのが目的。新制度の主な運用点は
・入学金や授業料など必要な納付金は全額、大学側が負担する
・執務時間中に授業を受ける場合は執務専念義務を免除する
・制度に手を上げる際は上司の同意が不要で、就学支援期間中は人事異動の対象としない
・出願や研究計画の準備は高度研究系専門人材のサポートを受けられる
-など。

 2024年度は技術職員の博士学位取得を対象にスタートし、制度運用の微調整をして2025年度から全大学職員、修士課程の学位取得に対象を広げる。岡山大学は新制度スタートに備え、職員就業規則に2024年度から高度専門人材を追加している。

 那須保友学長は本制度を、岡山大学長期ビション2050の実現のためのひとつの手段として構想を練り、学内構成員らの聞き取り調査などを行って制度化させた。「教員の役割の見直しや複線化人事制度などさまざまな取り組みに着手するうえで大学職員の高度化は必須であり、役割はマニュアルワーカーではなく、ナレッジワーカーへと変化している。従来の大学院での教育研究の在り方も本制度などをもとに変えていくことになる」とコメントしている。

参考:【岡山大学】岡山大学「大学院修学支援制度」を始動~大学職員の高度化のひとつの手段としてナレッジワーカーとしての博士人材を育成・活用し、かつ大学法人経営や大学院改革の強化へ~

大学ジャーナルオンライン編集部

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