微生物を活用して水田で発生するメタンの削減を目指す茨城大学農学部の西澤智康教授らの研究に、米国のビル&メリンダ・ゲイツ財団から383万ドル(約5億円)の助成が決まった。インドやコロンビア、ドイツの大学、研究機関と国際共同研究として進めるもので、西澤教授が代表者を務める。
茨城大学によると、アジアやラテンアメリカ諸国ではメタンの排出源となる伝統的な水稲栽培が盛んだが、メタンは二酸化炭素の27倍もの温室効果をもたらす。その多くが農業分野から排出されている。
プロジェクトに加わる茨城大学農学部の迫田翠助教らの研究では、KH32Cというバクテリアをイネの種子に接種することで水田からのメタン発生が約20%削減できることが確認されている。
研究グループは今後3年間かけ、微生物を水稲栽培に導入することによるメタン発生抑制効果をアジアやラテンアメリカの多様な条件下で実証する。同時に、現地で若い研究者や技術者を育成し、技術の普及を進める。
目標は世界の水田で発生するメタンの3%以上削減。二酸化炭素に換算すると年間2,400万トンの削減に当たる。西澤教授は「ゲイツ財団の助成で温室効果ガス排出量の削減に大きく近づくことができた」とのコメントを発表した。
参考:【茨城大学】微生物活用で世界の水田のメタン排出3%以上の削減をめざす 農・西澤智康教授らの研究プロジェクトに大規模助成決定 ―ビル&メリンダ・ゲイツ財団から383万ドル 海外研究機関と共同―(PDF)