2024年12月2日、弘前大学の被ばく医療総合研究所および被ばく医療連携推進機構は、自衛隊員を対象に「陸上自衛隊弘前駐屯地 放射線防護研修」を実施した。陸上自衛隊弘前駐屯地から30名と青森県隊友会から2名が参加した。

 青森県には複数の原子力関連施設が立地し、万が一の事故発生時は県内の多様な職種が、放射線測定、避難誘導、汚染検査、被ばく医療へ関わることになる。こうした背景のもと、弘前大学被ばく医療総合研究所は陸上自衛隊弘前駐屯地と協議し、陸上自衛隊員が放射線防護の知識と技術を習得することを目的に、同大キャンパスにおいて放射線防護研修を初めて実施した。

 研修の前半は、弘前大学の両機関の教授陣が登壇し、被ばく医療総合研究所長の床次眞司教授が「放射線防護の基礎」、同副研究所長の三浦富智教授が「放射線の人体影響と被ばく医療」、同研究所の菊池和貴特任助教が「放射線リスクコミュニケーション」、被ばく医療連携推進機構の辻口貴清助教が「能登半島地震の経験」について、それぞれ講義した。研修後半には、「放射線測定機器の使用法と汚染サーベイ」および「個人防護具の着脱」に関する演習を実施。最後の質疑応答では参加者との間で活発な意見交換が行われた。

 近年、自然災害が多発し、地域防災に対する関心が高まっている。今回の研修では、複合災害で派遣が想定される自衛隊員が、放射線防護について理解を深めることができ、地域防災における連携強化への大きな一歩となった。

 弘前大学では11月26日にも日本原燃株式会社とともに、六ヶ所再処理工場(青森県上北郡)で発生する可能性のある緊急被ばく医療事案を想定した合同訓練を実施している。同大は今後も、地域防災に関する連携を深めるための取り組みを推進していく。

参考:【弘前大学】弘前大学が陸上自衛隊員を対象とした放射線防護研修を初開催 ― 講義と実技演習を通じて知識・技術の習得を図る

大学ジャーナルオンライン編集部

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