妊娠中の夜間の間食頻度が産後うつ病に関連することを、酪農学園大学の小林道准教授らが明らかにした。
産後うつ病は、産後4週間以内に発生する可能性があり、子どもとの関係にも悪影響を及ぼすことから女性にとって重要な健康課題である。これまでの研究で、夜間の間食頻度が高いことは、抑うつ症状のリスクとなることが報告されている。そこで、本研究では、2019年7月~2022年7月に北海道江別市在住の妊婦609人を研究対象として、妊娠中の週当たりの夜間の間食頻度および食品群別摂取量と産後うつ病との関連を検討した。
その結果、妊娠中に夜間の間食(夕食後の間食や夜食)の頻度が週3回以上の妊婦は、週1回未満の妊婦と比較して、産後4週間以内の産後うつ病疑いと判定されるリスクが約3倍高いことが明らかとなった。一方、夜間の間食頻度が週1~2回の場合は、統計的な有意差はなかった。この分析では、産後うつ病のスクリーニングであるエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)の得点9点以上を産後うつ病疑いとし、うつ病とその他の精神疾患の既往歴、抑うつ症状、妊娠週数、婚姻状況、世帯年収、パートナーの支援を考慮している。
さらに、食品群別摂取量の分析では、夜間の間食頻度が高いほど、豆類、野菜類、魚介類の摂取量が低い傾向にあり、総エネルギー摂取量、果物類及び菓子類の摂取量が高い傾向にあることがわかった。この結果から、夜間の間食頻度や量を考え、エネルギーを摂り過ぎないように注意することが、産後うつ病の改善に寄与する可能性が示唆されたとしている。
今後は、より大規模な集団での分析や、より詳細な食事内容や生化学的データを用いた研究が必要だとしているが、本研究結果は、産後うつ病のリスクが高い妊婦の早期発見や母子保健に関する施策の立案に役立てられることが期待される。