近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)は、孤独死など異常死した人の高精度検案や司法解剖を行い、死因を突き止める死因究明センターを開設した。センター長には国内法医学の第一人者とされる池田典昭元九州大学教授が就任、南大阪地域の拠点となって稼働する。
近畿大学によると、死因究明センターは南大阪地域19カ所を含む大阪府内の警察署25カ所からの要請で死体の検案を始めた。今後、司法解剖の実施も予定している。池田センター長は日本法医学学会理事長を務め、法医学の発展や人材育成に多大な貢献をしてきた。複雑な症例の正確な死因特定で定評がある。
池田センター長は「死因究明は故人に対する最後の医療。近隣地域で積極的に死因究明を進め、センターの重要性を理解してもらうとともに、故人に最終医療を提供したい」とのコメントを発表した。
日本では高齢化が進む中、年間の死亡者が増え続け、2023年で157万人を超えた。2040年には170万人近くに達すると推計されている。警察庁によると、全国の警察署が2024年に扱った死者約20万人のうち、独居中の自宅で亡くなっていたのは約7万6,000人を数えた。
内閣府の作業部会は「孤独死・孤立死」とみなすケースを死後8日以上経過して発見されたと定義している。警察庁のデータから算出すると、該当例は約2万2,000人に上った。
参考:【近畿大学】「近畿大学病院死因究明センター」を開設 南大阪地域における死因究明の拠点として地域医療と社会の安全に貢献