株式会社マイナビは、2026年卒業予定の全国の大学生、大学院生を対象に実施した「マイナビ 2026年卒大学生就職意識調査」の結果を発表した。有効回答数36,311名(文系男子11,044名 文系女子14,946名 理系男子6,495名 理系女子3,826名)

 就職観については、37.4%の学生が「楽しく働きたい」と回答し、例年同様に最多となった。次いで多かった「個人の生活と仕事を両立させたい(25.6%)」は3年連続で増加し、前年からの増加幅が1.1ptと最も大きく、学生のワークライフバランスへの意識の高まりがうかがえる。

 一方で、「収入さえあればよい」(8.4%)も5年連続で増加しており、10年前(2.6%)と比較すると3倍以上となった。近年の物価上昇の影響で「食費」「家賃」「学食・生協の値段」などの上昇を感じる学生が増えているほか、「お金に対する不安」を感じる学生も増加傾向にある。経済的な負担や不安が増している状況が続き、収入にもこだわりを持つ学生が増えていると推測される。

 大手企業志向は51.8%で、2年連続で5割を超えるも前年比1.9pt減となった。中堅・中小企業志向は43.0%で、前年比0.1pt増。詳細をみると、もっとも大きく増えていたのは「中堅・中小企業がよい」(7.7%)で、前年比1.9pt増となった。

 マイナビ2026年卒企業新卒採用予定調査」によると、初任給を引き上げ予定とした企業は25年卒より増加しており、特に従業員数300人未満の企業においてその増加幅が大きかったことから、初任給引き上げの動きが上場企業以外にも波及していることが推察される。これまで上場企業・大手企業による初任給引き上げが社会的に注目を集めていたが、幅広い業界で初任給引き上げの動きが活発化し、給与等の待遇面の条件が見直されたことが、中小・中堅企業志向の学生が増えた背景の1つと考えられる。

 企業選択のポイントは、「安定している会社」が51.9% (前年比2.0pt増)で7年連続で最多となり、はじめて5割を超えた。また「給料の良い会社」も4年連続で増加し、前年比1.6pt増の25.2% となった。就職観における「収入さえあればよい」という回答の増加と同様に、物価高に伴う経済面への不安や初任給引き上げ・賃上げといった動向の影響が考えられる。

 一方、行きたくない会社は「ノルマのきつそうな会社」が前年に続き最多で38.2%だった。2番目に回答が多い「転勤の多い会社」は31.0% (前年比0.7pt増)で、今年も3割を超え、5年連続での増加となった。

 「転勤の多い会社」が増加している背景の1つとして、近年の学生の共働き志向の高さが考えられる。結婚後の仕事に関して「共働きが望ましい」と回答した学生は全体で72.1%と高い傾向にある。ライフスタイルの変化、特に結婚後の仕事のあり方に関する考え方の変化に伴い、転勤により勤務地が頻繁に変更になることに対して抵抗を感じている学生が多いと考えられる。

参考:【株式会社マイナビ】「マイナビ 2026年卒大学生就職意識調査」を発表

大学ジャーナルオンライン編集部

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